ヤカイ沢滑降

火打峠に到着するとすでに付近には10台ほどの車が停まっていた。驚いたのは、駐車スペースから直にトレースがつけられていたことだ。6日の寒波は上越国境には多くの雪をもたらしたようで、遠望される山々は白く輝いていた。会津駒のことがあったのでラッセルが不安だったが、前日からの入山者によってそれは杞憂に終わった。今度は有難く使わせてもらおう。

いきなり駐車ポイントから、トレースが出来ていた。
1.jpg

除雪のなされた別荘地の道路を緩く登って行く。帰りが楽しみだ。
43.jpg

別荘地を抜け、林道を進む。完璧なトレースで快適。
2.jpg


別荘地を抜け、山に入って行く。新しい雪が30cmは積もっている。それまでの雪の少なさが想像できた。樹林帯を抜けて送電線台地に出る。湯沢町らの水源地を進み、少しずつ標高を上げて行く。ブッシュ帯も何とか埋まっていて、トレースは立派に出来ていた。傾斜が大きくなる辺りにあった杭のような枯れ木は無くなっていた。幾たびの台風などで倒れてしまったのだろう。目印が失われた。
1400mあたりで沢にぶつかる手前で右にターンをして右手の山へ向かう。ここからのルートは先行者の意図のままに任されるので、その時々で異なる。登りながらヤカイ沢を偵察したが、本流にはシュプールがなかった。シュプールは山襞の西側にいくつか見えた。雪崩を警戒したのだろうか・・。前日は多くの人が入ったらしく、トレースは完璧だったが、みな周辺に散り、本流を避けたようだ。これは本流が戴けるかも知れない。
何回かのジグを切りながら更に高度を上げて行く。樹林帯を抜けて1650mの稜線に登り上げると、そこには大展望が待っていた。

樹林帯を抜け、送電線台地まで登って来た。
3.jpg

いったん低灌木のブッシュ帯を抜け出すと、平標から松手山方面の山稜が一望される。
4.jpg

ヤカイ沢にはいまだ陽が当たらない。まもなく次のブッシュ帯に突入する。
5.jpg

ブッシュ帯が終わると松手山の向こうに苗場山の姿が見えて来る。
6.jpg

先行者をペースメーカーにあとを追う。
7.jpg

ようやくヤカイ沢に陽が差し込んで来た。しかし、シュプールが見られない。これは・・
8.jpg

いよいよ支尾根の稜線上に出た。シュプールはヤカイ沢の西の尾根上に見られた。
9.jpg


東側にはやや雪庇も発達している。トレースはそれを避けていた。この辺りは基本的に雪があまりつかない、風が強いのだろう。クラスト斜面は登りづらいところもあるが、ほぼ先行者のあとを追う。四方の展望は素晴らしく、振り返ると先日の浅間山が美しい姿を見せていた。また八ヶ岳の峰々も隣に見えた。
転じるとたっぷりの雪を抱えた苗場山も特徴のある姿を見せて、見事な雪山景観を堪能することが出来た。この辺りの山岳景観は標高はあまりないが、素晴らしいものがある。上越国境という豪雪地帯だからだろう。

南側を見ると際立つ白さの浅間山から富士山らの山々が見える。
10.jpg

雪の稜線の彼方には苗場スキー場がよく見える。
11.jpg

傾斜が大きくなりクラスト面も出て来て、登りづらくなる。頑張りどころだ。
12.jpg

登って来たルートが足下に俯瞰された。
13.jpg

クラスト斜面を登り切る。
14.jpg


ようやく支尾根から主稜線に出ると、仙ノ倉山のたおやかなピークが見え、山頂かと思しきピークも見えて来るが、騙されない。平標山の山頂部は段になっているので、山頂手前に窪地がある。そこまで行かないと山頂には届かない。先行者との距離を保ちつつ歩を進めると滑降したシュプールが残っていた。カリカリのこんな雪じゃ楽しくはないだろうに・・。
山頂の山名表示板には楽しみにしていたエビの尻尾が殆どなかった。登った人たちに崩されてしまったのだろう。本来この道標はもの凄いことになっているはずだった。

主稜線に出てもカリカリの斜面は続いていた。高みを目指し先行者を追って登る。
15.jpg

仙ノ倉山が見えて来た。山頂はもうすぐだ。
16.jpg

山頂が見えた。段になった平坦部を過ぎれば、ほどなくして山頂だ。
17.jpg

360度、遮るもののない平標山山頂。
18.jpg

谷川国境稜線の山々。
19.jpg

西ゼンの素晴らしい大斜面。そして東谷山・日白山・タカマタギの稜線、遠く新潟の平野までも見える。
20.jpg

苗場山を見て、ヤカイ沢のドロップポイントに向かう。
21.jpg


ひと息ついて、先行者と言葉を交わしながらシールを剥がす。滑降モードに入る。先行者はドロップの気配がない。陽も高くなって来て、雪も緩み出すので、あまりのんびりはしていられない。挨拶をして先に滑り出す。一旦山頂の西側の鞍部へ出る。さてヤカイ沢の様子はどうだろう。斜面に入る。大丈夫そうだ。小さな雪崩の跡が見える。
雪崩れたときの逃げ場を確認して滑降開始。おおっ、新雪がバフッバフッと足元にかかって来る。斜面が動かないことを確認しながら滑降。ヤカイ沢は途中で右に屈曲する。ここから傾斜がグッときつくなる。雪崩はここが危ない。立ち止まって、カメラを向ける。まっさらな斜面に一筋のシュプール。気配のないことを確認してさらに滑降。最高に滑りやすい雪だ。存分に滑降を楽しみながら、もう一度傾斜がきつくなりよく雪崩れているポイントに到達する。ここまで来たらもう行くしかない。一気に急斜面を滑り降り、右手の台地に乗る。
ここへ登ればもう安心、この緩斜面をゆっくり楽しもう・・。と思ったが、この斜面深い雪と緩斜面で思うようには板が動かなくなってしまった。南斜面で日の出以降の太陽をたっぷり吸いこんでいるのだ。これまでの急斜面に対して、傾斜が無くなり無木立のバーンが広がるこのバーン、滑らないなんて初めてだった。ストックで雪をかいて弾みをつけながらブッシュ帯に到達。小さな谷をトラバースして、登って来たトレースに合流する。

山頂から稜線を少し下り、左手に広がるヤカイ沢にドロップ。まっさらな急斜面が広がっている。
22.jpg

山頂を振り返る。ここからドロップ。
23.jpg

雪の状態を確かめながら、滑降を開始する。
24.jpg

おっ、いい感じで滑り降りる。斜面は動かない、行けそうだ。
25.jpg

雪崩れた場合の逃げ場を確認して、この急峻な沢に突入して行く。
26.jpg

滑降ラインを振り返る。
27.jpg

ノートラックバーンに最初のシュプールを刻む快感。
28.jpg

ハーフパイプ状のヤカイ沢はずっと下まで続いている。
29.jpg

振り子のようにターンを繰り返しながらの滑降。
30.jpg

まだまだ気の抜けない斜面が続いている。
31.jpg

プチ雪崩のデブリを回り込み滑降は続く。
32.jpg

まだまだ続く快適バーン。
33.jpg

やや雲が現れ始めたが、天気の心配はなさそうだ。
34.jpg

ここまで下ればもう安心。雪崩の不安からは解放される。
35.jpg

台地上の緩斜面を滑り降りると、登って来たトレースが見えた。
36.jpg

滑降して来たヤカイ沢の全貌が見える。
37.jpg

深い雪の緩斜面、手漕ぎでブッシュを抜ける。登って来たトレースが見えた。
38.jpg


ここからは早い、早すぎる。トレースは完璧ボブスレー状態、ブッシュが多いので、ぶつからないようにときどきサイドに逃げてブレーキ。できるだけ新雪部分に入り、必要以上のスピードが出ないように注意しながら足がパンパンになったまま、送電線台地へ滑り込む。天気は下り坂とみたが、こここまで天気の崩れはなく暖かい陽光の下、素晴らしい滑降を堪能した。水分補給をして、最後の滑降に入る。台地からは林道までもう一度樹林帯を抜ける。そして林道を滑り、別荘地の道路に出る。緩斜面の圧雪道路は最高、何もせずにアッという間に三国小に到着、無事山行は終了した。

ブッシュ帯をかわしながら、登りのトレースに乗り下って行く。
44.jpg

ギタギタになった登りのトレースから、もう一度遠くなったヤカイ沢を振り返る。
39.jpg

圧雪面と新雪面を使い分けながら、あっという間に送電線台地まで滑降。
40.jpg

林道に出れば、滑降も終わりが近い。
41.jpg

滑降を堪能し満足な気分で春を思わせるヤカイ沢の流れを見やりながら下山。
42.jpg

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 13

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
面白い
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

  • フライマン

    2020年02月17日 13:27
  • フライマン

    ヤカイ沢は、気持ちよさそうなオープンバーンが続くんですね。
    ノートラックのGetおめでとうございます。
    2020年02月17日 13:56
  • 宮星

    ここは凄いですね~!
    登るのも大変でしょうけど、滑降距離がずいぶん長いようですね!?
    やっぱりargoさんのスキー技術はもの凄いですね!!
    2020年02月17日 15:56
  • argo

    フライマンさん、有難うございます。
    雪崩の多いヤカイ沢ですが、間髪を縫ったかも知れません。
    前日の休日に誰も滑っていなかったなんて、皆さん慎重なんですね。
    2020年02月17日 20:12
  • argo

    宮星さん、有難うございます。
    雪崩さえ回避できれば、素晴らしい斜面が続きます。
    私のスキーは大したことはありません、ただ転ばないだけですね。
    2020年02月17日 20:15