雪の大峠

予想した通り、野際新田の集落を抜けたあたりで車は前進できなくなった。ここから大峠まで歩く。
傾斜は緩いが単独ラッセル、準備をして板に乗る。ブーツの痛み解消策は完璧だった。先日のテストは役に立った。

最初入れるかと思って進んだ轍。
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この大峠林道、昨年夏に日暮の滝から歩き、また一昨年の春旭岳にアタックした時もこの林道は少し歩いた。
しかし林道の末端から歩くというのは、ちょっと根性の要るアルバイトと思われた。
ただ真っ白な流石山のバーンに憧れてしまったので、一度はやりたいと思っていた。積雪は予想したほどのもので、特に多くも少なくもなかった。ファットでも沈み込みは10cm程度で、難渋するラッセルではなかった。

パウダーを踏んで行く。数日前のトレースが見えた。
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大峠までは、いくつかのポイントがあるので、それを目標にして前進するしかない。まずは地図に鳥居マークのある神社だ。観音山に登った時の入口の鳥居は来るたびに劣化して、いまや朽ちた棒のようになっている。
こちらの鳥居は、奥に社もあり立派だ。
広河原沢の橋を渡ると日暮の滝の道標が現れ、日暮の滝に出る。去年の夏にはここから歩いた。

神社がある。
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駒返坂を示す看板。
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広河原沢に架かる橋。
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日暮の滝まで来た。昨夏、ここに車をデポした。
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日暮の滝の全貌。
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滝のズームアップ。
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ここに通行止めのロープが張られているが、実際はまだ行けた。
次は雨量観測所の建物。この先には "有賀左司馬" の戦死の地がある。旭岳にはここから取り付いた。
この上部は急斜面の藪だが、夏の偵察でも今回の偵察でも旭岳への他のルートは見いだせないように思う。

ここから通行止め。
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大きな堰堤部を見ながら右にカーブして行く。
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雨量観測所の建物。
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有賀左司馬・戦死の地。旭岳にはここから取り付く。
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そして、通行止めの原因の崩落地に出るが、しっかりと修復がなされていた。その先で猿の群れと遭遇した。しばし猿の群れを撮影したが、近づくと怖いのでズーム対応。そしていよいよ車両乗入れ禁止に到着。
しばし青空が覗いたが、サラサラフカフカの雪を黙々とラッセルして行く。動物の足跡が散見されるが気配はなく、とても静かな森。さらに進むと林道の碑の上に雪が乗り、ちょっといたずらをして気分転換。
積雪は次第に深くなって行く。そうこうしてようやく鏡沼への分岐に出る。ここまで来ると大峠ももう少しだ。

崩落地は修復されていた。
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猿の群れに遭遇、足を止めて撮影会。
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少しの間、青空が覗く。
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林道末端の駐車広場。
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動物の歩いた足跡があちらこちらに見られる。
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枝に乗った雪のオブジェ。
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小さな水の流れを跨ぐ。シールを濡らさぬように渡る。
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林道の碑の上に何やら・・。
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次第に深くなって行く雪。
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鏡沼への分岐点。
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ところが一里塚を過ぎたあたりからルートがよくわからなくなった。やはり林道も最後になると狭くなり、また灌木を越えるようになると雪で道形が分からなくなってしまう。赤テープを見出すことも出来たが、雪原に出たところでGPSを見て確認すると、大峠に出るところは地図では谷を登って行くようになっていたため、尾根寄りだったルートから少し下って谷へ入って行くようにした。
だが相変わらず道形を見つけることは出来ず、GPSを見ながら前進する。気が付けばこのあたり、木々の枝に霧氷がついて、それまでの感じとは違った雰囲気になっていた。
やがて、道形らしき切開きを発見。行く手の空が開けて、峠に飛び出したのは、その直後だった。

一里塚の石標。この辺りから大峠へのルートがよくわからなくなった。
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さらに深くなった雪に道形は消えてしまった。
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ルートがよくわからず、高みへ登って行くと雪原に出た。この手前に赤テープを見つけた。
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藪っぽいところに突入して行く。
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GPSでは谷間に夏道があるようなので、谷へ向かう。峠に近づいていることは分かる。
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ようやく道形らしきところへ出た。
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いつの間にか、周囲の木々には霧氷がびっしりついていて、森の雰囲気が変わっていた。
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すると、その直後に空がぱあっと開けた。
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懐かしい大峠に出た。夏のあの日、爽やかな風が流れ気持ちの良い高山植物に覆われたのびやかな峠だった。しかし、いまは寒々とした灰色の世界が広がっていた。ところが、標識や道標は雪に埋もれてはいなかった。しかも灌木や低木も顔を見せていた。予想していた真っ白な大雪原の様相とは違っていた。やはりこの辺りも、それほどの積雪にはならないようだ。

大峠に飛び出す。意外にも灌木が多く露出していた。
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三本槍方面、ガスで見えない。
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目標は流石山だったがすでに時計は12時になっていた。これで大快晴であればモチベーションも上がるところだが、小雪の舞う灰色の空ではもういいか、ということになった。それでも、少しだけ上に登って・・ 、と峠から見えている一番高いところまで足を延ばした。ちょうどそこには小さなケルンがあった。標高は1550mくらいだった。
ここで、エネルギーの充填を行い、シールを剥いだ。下山時にも再びシールを貼ることがあるように思えたので、
先回のシールの扱いの失敗を繰り返さぬように留意してザックに入れた。

時間が迫っていたので、ちょっとだけ流石山に向かう。
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三斗小屋方面は、霧氷の森だった。
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小さなケルンのある場所まで登り、エネルギーの補充をしてシールを剥ぐ。
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さぁ滑降に入る。南側に寄って滑るとブッシュのない斜面を楽しめた。しかしあまりにも僅かだった。
峠からの下りは、登りのロスを取り返そうと谷を下って適当に合流しようと考えた。そこで切開きされているところから一気に林間ルートを滑降。快適に滑ってGPSで位置を確認してみて驚いた。50mほど登りのルートよりも高度を下げてしまい、しかも離れて行くではないか。これはまずい!!
地図読みをしっかりすると、高度を落とさないようにしながら回り込んで行けそうだった。しかし小さな谷が幾重にも続いていて、しかもブッシュ帯に入り込むと、これはシールを貼った方がよさそう、と貼り直した。その後、滑れそうなところに出たときには、もう一度シールを剥がした。

パウダー斜面をちょっとだけ楽しんで、峠に戻る。
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峠からは谷に向かって滑降。
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ツリーランを楽しんで一気の滑り。
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いい斜面が続いていたのでそのまま滑り込むと大変なことになってしまった。
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いつのまにか、登って来たルートよりも50mも高度を下げ、小さな谷が幾重にも流れているブッシュ帯に遭遇。
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はまったら大変なので、シールを貼り直したりして、標高を下げないようにトラバース。
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トラバースを続けながら、登りのトレースに乗る手前で再びシールを貼った。すると、気持ちが急いていたせいか、すぐにまた剥がれてしまった。僅か20mほど登れば登りのルートに合流できるのだが、シールなしだとどれだけ疲労するかわからない。ということで、ここは腰を据えてシールを貼り直した。接着面の雪を丹念に落として圧着。
正直頑張ってね、とシールにお願いした。
今度はしっかりと張り付いたらしく、僅かな時間で鏡沼分岐の少し下に出た。こうなればあとは登りのトレースを
追うだけ。もう一度シールを剥いで、ヒールフリーで下ることにした。この林道、傾斜が小さく登りのトレースを
ボブスレーのコースのように快適に下れる部分もあるが、半分は手漕ぎになる。翌日の脇の下筋肉痛にならぬよう、手加減して漕いで行く。小さな橋を渡ると、車両乗り入れ禁止の看板が現れた。ここまで大峠を出て90分もかかってしまった。大人しく登ったトレースに従えば30分で来れたろう。登りと違う下りでの落とし穴、ということだ。

慎重にシールを貼り直して、ブッシュ帯を抜ける。
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ようやく、鏡沼分岐点の少し下部で登って来たトレースに合流。
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林道碑が見えた。
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その後も丹念に登って来たときに目標にしたポイントを確認しながら滑ったり、歩いたりを繰り返しながら日暮の滝に出た。この先ボブスレーが終わると道は平坦になり、やや登りになるところもあって、疲れた足には最も辛い時間だった。駒返坂までやって来るとやっと神社も近づき、車のデポ点は間近になった。
意外に気温が高く、風もなかったせいで、汗をかいた。手早く片づけを行いエアコンを全開にして帰途についた。

このあたりは若干の登り傾斜になっている。疲れた足には辛いところ・・。
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大峠方面が見えた。
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雨量観測所まで降りて来た。
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日暮の滝まで下れば、林道もあと少し。
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やっとスタート地点に戻って来た。長い林道だった・・。
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この記事へのコメント

  • 芝刈り爺さん

    凄いですね、よく行きましたね、、。よく滑って降りましたね。絶句です!
    凄い!
    2021年01月08日 14:17
  • argo

    芝刈り爺さん、こんにちは。
    大峠林道、長かったですね。頑張りました。
    そして、疲れました。
    2021年01月08日 18:42
  • フライマン

    久しぶりに来ました
    大峠ですか!!凄いですね
    車の到達可能ポイントは、以前行った時よりも手前ですか?
    今シーズンは、雪が多めなので良いですね。
    私は先日、中の大倉尾根ですだれ山まで行って来ました。

    今年もよろしくお願いします。
    2021年01月14日 17:55
  • argo

    フライマンさん、こんにちは。お返事、遅くなりました。
    車は、林道の入口くらいまでしか入れません。やはり、春にならないと以前のあたりまで
    入ることは出来そうもありません。
    また、いまのところ予想に反してこの辺りの雪は少ないです。ブッシュがかなり見られます。
    もっとガンガン降ってくれないかなぁ、と思うこのごろです。
    すだれ山、あの斜面いいですよね!! 今年も、よろしくお願いします。
    2021年01月15日 18:48