GW前の燧岳

燧岳には春・夏・秋と何度も登っているが、厳冬期にも登ってみたいと思っていた。しかし、国道は桧枝岐村のはずれで冬季通行止めがあり、少なくとも七入までは国道を歩かねばならず、そこからの登山を考えたとき御池からのお手軽ルートとは異なり、長く辛いラッセルをしなくてはならないので、自分一人では叶わないと机上計画だけのものとなっていた。過日、友人から連絡があり何処かへ? ということだったので、この案を提案した。自分の予定した時期とはかけ離れているが、国道のアプローチ、また山への取り付きなど知っておきたいことを調べるチャンスでもあり、とりあえず頭に描いていたルートを確認するには絶好と計画実践を決めた。
燧岳ルート図PC.jpg

GWも近づき、国道の除雪は御池まで延びているだろうことは想定できた。ならば通行止めゲートも七入りに近いところまで後退しているだろうと思っていたが、案の定七入手前2kmほどのところまで移動していた。当初ゲートから七入りまでチャリを利用しようかと思っていたが、準備が面倒だったので歩くつもりでいた。その歩く分が25分程度になりとても助かった。七入山荘はまだ人の気配もなく、ひっそりしていた。

通行止めのゲートからスタート。空はどんより、でも確実に晴れるはず!!
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七入橋を渡って、山荘前に向かう。
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山荘の手前には水芭蕉が咲いていた。
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まだ人の気配はなく、ひっそりとしている七入山荘。
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ここで板を履いて山に取り付く。山荘の正面に明瞭な尾根があるのでこれを登ることにした。当初地図上にある夏道を利用できるかな、と思っていたが、南側のより大きな尾根に取り付いたことになる。下には沢が見えていたが、様子ではこの沢沿いに途中まで登っても良いように見えた。送電線の手前でピークを踏むが雪が切れて藪が出ていたり、若干の下りがあった。やがて尾根を外れて左手の斜面を登る。傾斜があるがジグを切り1280mのピークを目指す。雪が切れているところもあって、先の見えないところでは繋がっている雪を見出すとほっとした。

尾根の末端から取り付く。山に陽が当たって来た。
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初めてのオリジナルルートに挑戦。
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とりあえず雪がついていれば、登って行ける。
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友人は朝の感触を確かめながら登って来る。
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マンサクの花だ。
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尾根がやや痩せて来る。
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登り切ると雪も切れてしまった。板を手に持ち、送電線をくぐって行く。
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尾根を外して雪の斜面を求めて行く。
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熊の爪痕だろうか、交互に二本ずつ上に向かっていた。
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この辺りは、比較的登り易い斜度。少しずつ斜度が増して行く。
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斜面を登り切り、尾根上に上がる。
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その先が見えないところがドキドキ。
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雪質など関係なし、雪が繋がっていることが大切。
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雪原に出るとモーカケの滝が木々の間に見え、滝音が鳴り響いていた。そして最後のひと登りを越えると橅平の一角に出た。ここで初めて真っ白に輝く燧岳の山頂部が見えたが、その姿はまだまだ遠く見えた。広大なブナの森を沢筋に沿って抜けて行く。ようやく左手の尾根のくびれが見えて来た。これを目指して登って行く。最後は少し傾斜が出て来るが、登り上げると沼山峠へ向かう道路に出た。道はまだ除雪がなされておらず、雪に覆われていた。

モーカケの滝が正面奥に望まれる。
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雪原の縁を登って行く。
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滝を離れると、斜度は大きくなり厳しい斜面を登る。
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登り切ると、初めて真っ白な燧岳が顔を見せた。
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小さな沢の窪みに沿って前進。
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緩い斜度の橅平を進んで行くと、前方右手に尾根のくびれが見えて来る。これに向かって進む。
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鞍部になっているこの窪みに向かって登る。
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登り切ると狙い通り、沼山峠に向かう車道に出た。地図読みではこの辺りで、標高1500mになる。
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ここからメラッパシ田代に向かって行く。雪壁を避け左手から回り込むようにして上部へ登って行く。樹林の中の小さな凹凸を乗り越えて行くと、樹林の向こうに燧岳の姿がしっかりと見えて来た。さらに樹林の中の小さな凹凸を越えて行くと、前方が突然開けてこじんまりした平坦地に出た。これがメラッパシ田代だろう。正面には再び雪壁のように見える壁が立ち塞がっている。雪壁が近づいて来ると徐々に傾斜が出て来て、厳しい登りとなる。一気に手強い登りを強いられるようになるが、これを頑張ると樹林が切れて東の田代に出る。

傾斜を避けてポコを巻く。何かの碑のような、巨大な岩塊。
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右手のポコを巻く。
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巻き終えて平坦地に出ると、目指す燧岳がしっかりと見えて来る。
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小さな凸凹を越えて樹林の中を進む。
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樹林の中を進む。
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メラッパシ田代の平坦地に出る。その先に雪の壁が見える。
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雪壁のような斜面に挑む。空はすっかり晴れ上がった。
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会津駒と大戸沢岳が見えて来た。
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この上の台地を目指す。
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このくらいの傾斜になると、シール登高も難しくなる。
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ようやくにして東の田代に登り上げると、待っていたのは雄大な燧岳の姿だった。
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燧岳が雄大な裾野を引いて大きく見えて来た。やや右寄りに進んで行くとあまり深くない谷に出る。初めこの谷に沿って登って行くが、途中で谷に降りて左岸壁を登った。しかし浅い谷なのでむしろ谷を登った方が楽だろうと考え、この谷の底を登る。地図読みでは、正規ルートの熊沢田代から上部に抜けて行くところのイメージなので、この谷を登り切れば2100mを越え山頂手前の大斜面に出るだろうと、ギアの切り替えをして一歩ずつ高みを目指した。小さくうねうねとした谷は一定の傾斜で続いていた。そして、谷の底が左右の土手の高さ近づいて来ると、いよいよ源頭の雰囲気となり、ようやく谷を登り切った。目の前には大きく燧岳の山頂部が見えている。

雄大な燧岳の姿。
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日光白根山が見えた。雪がない!!
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初め谷の左岸壁を登って行く。
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途中から、谷の底に降りる。
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谷はうねうねとしているが一定の傾斜で登り易い。
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ギアを切り替え、ひたすら登る。ここが頑張りどころだ。
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両岸の高さがなくなり、源頭の雰囲気。あと少しだ。
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最後の登高。
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谷を登り切り、山頂までの大斜面に出た。
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毎度山頂手前の大斜面の登りは、燧の登りでも最も気合の入るところだが、帰りのこの斜面の滑走を頭に描きながら頑張る。雪は表面が柔らかくなったザラメで、帰りの滑走は楽しめそうだった。GWでも年によっては、すっぽりと雪に覆われている山襞のハイマツ帯がすでにしっかりと露出していた。やはり雪解けは想像以上に早いようだ。振り返ると、会津駒から大戸沢岳らの起伏の小さな山々が見え、右手には新潟のより白い山々が見えた。また左手には雪の消えた日光連山が青々とした姿で見えていた。

青々とした日光連山が見えて来た。
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とてもGW前とは思えないハイマツ帯の露出。
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会津駒を背に最後の頑張り。
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越後三山ら新潟の山並み。
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山頂台地は目前。
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ところどころクラストしている部分もあるが、概ね日差しを浴びて緩んでいるので、シールでの登高はスムーズだ。少しずつ少しずつ、山頂手前の台地が近づいて来る。いまはまだ山の斜面に隠れているが、あそこまで登ると柴安嵓が見え、平ヶ岳や越後三山らが見えて来る。そんなことを考えながら、登高を続ける。そうしてようやく台地に出た。ここまで登れば、山頂はそこだ。さすがに雪は山頂まで繋がっていて、俎嵓の祠の手前までスキーで登ることが出来た。いつもながらの大展望には勿論、いつもよりかなり長い登山を強いられ、変化に富んだ燧岳を改めて堪能できたことに満足した。予想以上に時間もかかったので、今回はここまで、柴安嵓の急斜面はまたの機会に・・。

山頂台地に出る手前から登って来たルートを俯瞰する。
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いよいよ山頂台地に出る。
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柴安嵓が見えた。春になるといつもあのあたりが汚れて来る。
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尾瀬沼は真っ白、しかし日光連山は青く、上州武尊も雪解けが進んで青っぽく、そして至仏山ですら黒いところが見えていた。いかに今年の雪解けが早く進んでいるか、である。GWまで待っていると、尾瀬の山々は酷いことになる。それに対して新潟の山々は、まだ十分な白さを維持しているかのように見えた。とくに平ヶ岳の真っ白な姿は格別だった。展望を満喫したら、シールを剥いで滑降準備。お楽しみの下山に入る。

尾瀬沼の白さが際立っていた。
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至仏山にもすでに黒いところが見えていた。
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白さではピカイチ・平ヶ岳。
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滑降準備を整える。
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まずは山頂直下の大斜面の滑降だ。陽が傾き始め、やや硬くなってきた部分もあったがザラメ雪の滑走は気持ちの良いものだった。振り返れば、斜面の上に太陽が位置していて、滑って来た斜面をテラテラに照らしていた。大斜面を終えると登って来た谷に入る。ハーフパイプ状の谷は振り子のようにターンを繰り返す。そして土手の上に上がればツリーラン。やがて東の田代に出て行く。意外に傾斜があり、止まることなく田代の先端部に出る。樹林の急斜面はあっという間、登って来た時が嘘のようにどんどん落ちて行く。緩斜面が続くメラッパシ田代を過ぎ、再び樹林の中を抜けると沼山峠への道路に出た

山頂からの滑走。
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友人もテレマークターン。
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陽光眩しく、雪面はテラッテラ。
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燧岳一番の大斜面。
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スベスベ斜面では、テレマークがよく決まる。
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ハーフパイプ状の谷から、樹林帯に入って行く。
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東の田代に向かって滑走。
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岳樺の白い幹が青空に映える。
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あっという間に、燧岳は遠くなった。
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東の田代をあとにする。
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メラッパシ田代に向かって、急斜面を滑る。
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樹林の中のポコを上手く巻いて、登り返しなく滑走を続ける。
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再び車道まで戻って来た。ここからは、国道に向かって北方向に進路をとる。
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下山はここから登って来たルートを離れ、橅平を北東へ向かい、モーカケ沢を横切って国道に出て北側を沢沿いに下るルートを選択した。これは友人の記録して来た過去のGPSデータを利用したものだった。快適に国道のジグザグをカットするルートだったが、最後に地図には現れていない小さな沢に行く手を阻まれてしまった。雪が切れていて渡れず、若干の登り返しを余儀なくされた。沢を渡る橋からは板を担いで国道を七入まで下り、さらに駐車ポイントへと急いだ。充実した一日に足取りは軽く、弾む会話のうちに車が見えて来た。

車道からひと滑りで、広大な橅平に出る。これを国道に向かって進む。
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モーカケ沢に出たら、この沢沿いに下って行く。
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スノーブリッジを渡ると国道に出る。
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わずか数m、手抜きをして板を履いたまま国道を渡る。
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国道の屈曲点を結んで下ろうとしたが、三つ目の手前に雪の切れた支沢があり渡ることが出来ず・・。
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若干登り返して国道の橋を渡る。
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板を担いで国道を七入に向かう。流れる水音は春そのものの勢いを感じさせるものだった。
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通行止めゲートに戻り、長い一日が終わった。
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この記事へのコメント

  • 芝刈り爺さん

    これは凄い,雪の状態、これも凄いし、それを乗り越え頑張って頂上にたどり着いたのも凄いですね。国道、スキーを履いたまま渡るのには,,思わず笑いました!雪が少ないんですね.いいことなんだか、、。
    2021年04月12日 07:14
  • argo

    芝刈り爺さん、こんにちは。
    御池からの距離の二倍以上あるので、ちょっと飽きましたが、雪がちゃんとしていれば
    もっと余裕でやれそうです。とにかく机上論だけでしたので、実践していろいろ収穫が
    ありましたから、来年はもっと気合を入れたいと思っています。
    2021年04月12日 14:06
  • フライマン

    長い行程お疲れ様でした。
    山頂にたどり着けて、大満足です。
    登りのルートは、燧ヶ岳にほぼ真っ直ぐ向かっていて、最短で行けて良いルートですね。厳冬期のラッセルで辿り着けるか心配ですが、来年は雪の良い時期に挑戦したいですね。
    2021年04月12日 16:47
  • argo

    フライマンさん、大変お世話になりました。
    来年は厳冬期にやりましょう。
    2021年04月12日 19:47